雨のあと。窓の向こうに少しずつ晴れてゆく気配がじわじわやってくる。
トーマス・デマンドの写真を眺めていた。彼の被写体は、自作の彫刻。それも「紙」だけで作られているという。『浴室』というタイトルの写真に見入っていた。絵みたいでもあるしホンモノみたいでもある。気になる写真である。写真を撮った紙彫刻はすべて破棄するらしい。紙は彼の理想の素材だという。博多の山笠も、毎年山を創り、山が終われば解体、壊してしまう。創っては壊す、破棄する。山笠のみならず、毎日の生活の中でも、常に何かしらを破棄をし、何かしらをまた新たに創り出している。朝は空っぽのゴミ箱が夕方には紙や屑でいっぱいになる。シュレッダーも満杯になる。何をこんなに捨て、破棄しているのだろうとふと思う。資本主義社会は消費社会、それで循環しているんだっけ、とまたふと思う。耳に永らく親しい言葉「ゴミ減」「ペーパーレス」。身の回りの書類の山、止まないファックス、めまぐるしいほどのコピー資料等を見ていると、なかなか実感がわいてこない言葉だなと思う。
Author:akiyasu_sukiyasu
福岡在住です。改めてよろしくお願いいたします。